特定調停のおさらい1<概要から手続きの流れ>

カリガネさんのケーススタディも含めて、今までご説明してきた特定調停の内容についてはいかがでしたか?どのようなものかある程度は把握出来たと思いますが、改めて特定調停の概要や手続きについてのおさらいをしてみましょう。

 

■特定調停の概要

 

特定調停とは、債務の返済が出来なくなる恐れのある債務者の経済的な再生を図るため、債務者と債権者の間に裁判所が入り、債務者が負っている債務の額や返済方法を調整する法的手続きのことです。

 

特定調停は経済的に破綻する恐れのある債務者であれば、個人、法人、個人事業主か否かを問わず幅広く利用することができます。

 

そして、調停が成立し、調停調書に記載されたときは、その記載は確定した判決と同様の効力があるため、債務者としては調停内容に沿って返済すればよく、その後の督促や取り立てを受けることがありません。また、金利も調停成立後の返済期間には生じません。

 

 

そして、この特定調停の手続きは、法的な知識がない当事者でも簡易裁判所にある必要書類に記入することで、自ら申し立てできることが最大の特徴です。

 

申し立てが受理された後は、当事者が簡易裁判所に出廷することが原則となっており、簡易裁判所に任命された調停委員が事情を聴取し、当事者である債務者と相手方である債権者の間に立ち、合理的かつ妥当と思われる判断を下します。

 

また、申し立てにかかる費用も、例えば個人で申し立てる場合、相手方1社につき2,000円程度(申し立て手数料及び手続き費用)と他の債務整理方法に比べて圧倒的に低額で済み、簡易裁判所へ足を運ぶ回数も2回程度であるため、非常に利便性の高い法的手続きと言えます。

 

特定調停は、当事者が気兼ねなく話し合い、交渉を行うため、原則非公開になっており、外部に知られることがない点もメリットの一つと言えます。

 

■特定調停を申し立てる場所

 

特定調停の申し立ては、当事者である債務者の住所でなく、債権者である相手方の住所、営業所の所在地を受け持つ簡易裁判所に行います。

 

また、申し立てる相手方が複数いる場合は、相手方いずれかのエリアを受け持つ簡易裁判所において、すべての事件を関連事件として取り扱うことになります。

 

■特定調停の申し立てに必要なもの

 

特定調停を申し立てる場合には、「特定調停申立書」「財産の状況を示すべき明細書その他特定債務者であることを明らかにする資料」「関係権利者一覧表」などの書類が必要になります。これらの書類は簡易裁判所に雛型となる用紙が備え付けられていますので、手軽に入手することが可能です。また、手続きには、相手方の本店所在地や代表者氏名を記載されている資格証明書や債務者の収入を明らかにする給与明細、身分証明書や印鑑も求められる場合もあります。この点は簡易裁判所によって若干の差異がありますので確認することが必要となります。

 

上記の書類を作成した後は、申し立て手数料(収入印紙)と手続き費用(予納郵便切手)と併せて簡易裁判所に提出します。

 

 

■特定調停にかかる費用

 

特定調停の申し立てに必要となる費用は、先に挙げた収入印紙で支払う申し立て手数料と簡易裁判所が債務者及び債権者へ郵便物を発送するために使用する郵便切手で支払う手続き費用が必要となります。

 

具体的な金額例としては、個人が申し立てる場合で、相手方1社について500円分の収入印紙と1,450円の郵便切手(80円切手17枚+10円切手9枚)になります。相手方が複数いる場合の手続き費用は1,450円の他に2社目以降250円分(80円切手3枚+10円切手1枚)を加えることになります。なお、これらの費用も担当する簡易裁判所によって決められていますので、事前に確認することをお勧めします。

 

■特定調停の進行

 

特定調停の流れはおおむね、次のようになります。

 

まず、債権者から簡易裁判所へ特定の申し立てがあると、簡易裁判所から債権者に申立書と申立受理通知が郵送されます。それと同時に申立人との間の金銭消費貸借契約書や取引履歴に基づく利息制限法の制限利率による引き直し計算書の提出を要請します。

 

その後の1回目の調停日として、申立人から債務の状況や生活状況、収入状況、返済方法などを聴取します。この1回目の調停日を事情聴取日とも言います。

 

2回目の調停日は申立人と相手方とで債権金額や月々の返済金額、方法などを調整し、摺り合わせをします。この2回目の調停日を調整日とも言います。

 

1回目の事情聴取日では、簡易裁判所へは申立人のみが出廷し、調停委員が申立人から現在の収入状況や生活状況、今後の返済方法などについて聞き取りをします。2回目の調整日では、申立人はもとより相手方も出廷し、引き直し計算による債権額や返済方法などを調整しますが、相手方が出廷しない場合もあります。その際は、調停委員が相手方と電話で調整を行います。調停委員は申立人と相手方の双方から意見を聴いた上で、公正で妥当な返済額、方法の調整を行います。

 

調整の結果、その内容に申立人、相手方双方が合意に至った場合は、調停成立により手続きは終了し、その後は合意した調停内容に沿って申立人は返済していくことになります、また、相手側が出廷しなかった場合は、特定調停法17条に則って、調停委員が公正かつ妥当と思われる内容を調停内容に代わるものとして決定します。これは「17条決定」と言われています。

 

残念ながら申立人と相手方どちらかが納得せずに合意に達しない場合、調停は不成立となり手続きは終了します。(調停委員が決定する17条決定の場合は決定後2週間以内に相手方から異議申し立てがなされた場合)

 

以上の手続きすべてが終了するまでに、申し立てからおおよそ約2カ月程度の期間がかかり、その間申立人は約2回程度、簡易裁判所へ足を運ぶことになります。