仮想特定調停 PART6 特定調停2日目に出席する

特定調停の事情聴取日から10日後、この日は2回目の調停日、予定通りだとこの日ですべてが決まります。

 

「ついに泣いても笑っても調停最終日。今日で辛い借金ロードも終わりにしたい。もう少しだ。でも消費者金融会社の担当者と直接会うかもしれないからな〜。怖いな〜。と言うか納得してくれるのか〜?」

 

調停前からネガティブ思考で、いつの間にか借金も完済しているつもりのカリガネさん。ちなみに昼食は験を担いでかつ丼でした。

 

前回と同じように申し立て人控室で待つカリガネさん。しばらく待っていると前回呼びにきた女性の人がカリガネさんを呼びに来ました。

 

「はいっ!」

 

前回と同様に調停に懸ける思いを返事に込めるカリガネさん。

 

 

そして前回と同じように苦笑の女性に調停室まで案内され入室しました。調停室には、前回と同じムード歌謡の男性調停委員と女性の調停委員が席に着いていました。2回目ということもあり、少し雑談も交えて挨拶を交わし、和やかな雰囲気で始まりました。

 

テーブルの上には前回同様に取引明細書などの書類が。その中の1枚に記入しながら男性調停委員が状況に変わりはないかなどを聞いてきました。変わりがないことを伝え、「A社には月々これ位の返済額で」など、交渉することになる内容の確認をしました。

 

その後、しばらくするとA社の担当が調停室に入ってきました。40歳位のいわゆるデキるビジネスマン風の男性です。
「約束の時間には着いていましたが、たっぷり15分は待たされましたよ。この後も予定が入っているのですが」と笑顔とは裏腹の先制パンチ。そこには「すんなりと合意なんかするものか」と言った意思も見え隠れしているようです。カリガネさん、この後の展開に不安を抱きながら、見守ります。

 

男性調停委員がA社に対する返済計画を伝えると「了解しました。そちらで結構です」との返答。最初の印象とは逆に呆気ないほど、すんなりと了解してくれました。

 

あとの3社は、担当者は出席せずに電話での調停ということになりました。特定調停に債権者側が出席しないケースも多々あり、その場合は「17条決定」と言われる簡易裁判所が解決のために必要と考える特定調停の合意に代わる決定が適用されます。この決定後2週間以内に相手方が異議申し立てをすると調停は不成立となってしまします。特定調停の実際は、簡易裁判所を仲裁として当事者間で話し合い、合意に至ることよりもこの17条決定が多く用いられています。

 

 

調停委員が消費者金融会社3社へ電話をする間は、申し立て人控室で待機することになったカリガネさん。相手方担当者と顔を合わせずに済むことになり、ほっとするも電話は電話でそれなりに不安です。あの男性調停委員が電話で交渉するとのことでしたが、うまく事を運んでくれるのか一抹の不安を覚えます。ジリジリとした時間を過ごし待つこと40分程、女性の調停委員が呼びにきました。

 

2社は方針通りの内容で同意してくれましたが、C社との交渉が長引いたらしく、C社への月々の返済額は当初の方針より5,000円多く支払うことになりました。

 

「ほぼ調停委員との方針通りだし、なによりすべての消費者金融会社が同意してくれてよかった。本当によかった」生活の立て直しという観点で言えばむしろスタートとも言えますが、特定調停のゴールが見えてきて、少し感激のカリガネさん。

 

調停成立により、210万円の借入総額が引き直し計算で150万円になり、月々の返済が4社合わせて47,000円で済むことになりました。借入元本にかかる将来金利も付きません。また、調停中の消費者金融会社に対する遅延損害金も短期間のため少額で済みそうです。これが、調停日の期間があいたり、多くの相手との調停で何回も簡易裁判所へ足を運ぶケースだと、調停中の遅延損害金はばかにならないようです。

 

女性の調停委員もほっとした表情でしたが、「毎月の返済は必ず期日を守って遅れないように気をつけて」と念を押されました。

 

これは調停成立において注意すべき点で、成立した特定調停は裁判所の判決と同様の効力が認められており、成立した調停内容どおりに返済が出来なくなると、債権者は訴訟を起こすことなく、調停に基づいて、給与の差し押さえ等の債権回収を強制的に実現する強制執行手続きが可能になります。なので、カリガネさんは、調停成立で安心するのではなく、むしろ気を引き締め、今後の返済を続けなくてはなりません。

 

残る心配は、この後2週間以内に消費者金融会社が調停に対する異議申し立てをしないかですが、男性調停委員によれば「まあ大丈夫でしょう。特に大手だと余程のことがない限り異議申し立てはしないと思いますから」とのこと。実に頼もしいことを言ってくれます。

 

調停成立の書類は郵送で送られるとのこと、その旨に続いて「これで本案件の調停は終了しましたよ」と男性調停委員。女性調停委員も女神のような微笑みで「カリガネさんの場合はスムーズな方でしたよ」と調停を結びました。

 

「このたびは大変お世話になりました。本当にありがとうございました」とカリガネさん、3年前に駅で財布を拾ってもらった以来の心の底からのお礼です。

 

そして、簡易裁判所を後にするカリガネさん。「う〜ん。やっぱシャバの空気は格別だ」つまらない冗談をしかも独り言で言い放つカリガネさん、幾分余裕も芽生えたようです。

 

空を見上げると調停中に通り雨でも降ったのか、そこには虹の架け橋が。雨から晴れへ。

 

まさに、「毎月襲ってくる多額の返済」という不安が無くなったカリガネさんの胸の内を表すような空模様。「もう2度と借金はしないし、簡易とは言え裁判所へも行かないぞ」と心に誓うカリガネさんでした。