特定調停手続きの詳細

特定調停手続きのおおまかな流れは前述した通りですが、ここではその流れに沿ってもう少し詳細をご説明します。

 

■特定調停申し立ての準備

 

債務者が特定調停を管轄の簡易裁判所へ申し立てるにあたっては、「特定調停申立書」を始めとする必要書類を揃え、提出する必要があります。

 

必要な書類としては、「特定調停申立書」「財産の状況を示すべき明細書(家計表や収入明細など)」「関係権利者一覧表(債権者の一覧)」などの書類が必要となります。また、これらの必要書類は担当する簡易裁判所によって若干の違いが出てきますので、事前に確認された方が確実です。これらの必要書類とともに「申し立て手数料」と「手続き費用」を債権者の所在地を担当する簡易裁判所に提出することで申し立てが出来ます。

 

気になる費用である申し立て手数料と手続き費用。担当する簡易裁判所によって異なりますが、おおむね申し立て手数料が債権者1社あたり500円程度。手続き費用が1社あたり1,450円程度で、1社増えるごとに250円が加算されます。このように弁護士や司法書士に依頼し高額ではないまでも、数万円以上かかる任意整理と比較しても費用が非常に安いことが特定調停の大きなメリットです。

 

 

■簡易裁判所へ申し立てる

 

「特定調停申し立ての準備」で揃えた必要書類と申し立て手数料、手続き費用とともに特定調停を担当する簡易裁判所へ申し立てると、簡易裁判所から相手方である債権者に「申立書」と「申立受理通知」などが郵送され、借金に対する支払いの督促、取り立て行為が停止されます。この督促、取り立て行為の停止は、貸金業法や金融庁の定めたガイドラインにより規定されており、債権者側が督促、取り立て行為が出来なくなることです。

 

また、債務者から申し立てが行われると、簡易裁判所は債権者に対して債務者との間の貸借契約書や取引の履歴、履歴に基づく利息制限法の制限利率による引き直し計算書の提出を依頼します。

 

■事情聴取の実施

 

申し立て後は、債務者は簡易裁判所が定めた事情聴取日に出廷し、調停委員から現在の生活や収入状況、今後の返済方法などについて聞き取りをされます。そして、後日に実施される債権者との調停に対する方針を調停委員と話し合います。

 

 

■調停の実施

 

調停委員による事情聴取の後は、簡易裁判所が定めた調停実施日に出廷します。調停では、調停委員が債権者に提出してもらった契約書や引き直し計算書などをもとに債務額を確定し、債務者が返済可能な返済計画案を立て、債務者と債務者双方の意見を聞いた上で公正で妥当な返済方法の調整を行います。

 

上記の調停委員による調整の結果、債務者、債権者双方で合意に達した場合は、調停成立により調停手続きは完了します。その後は合意した内容通りに返済をして行くことになります。双方の折り合いがつかない見込みの場合は、簡易裁判所が妥当と認めるときに調停委員が調停内容を決定します。これは、特定調停法17条に定められており、事務上でも「17条決定」と呼ばれている調停方法です。この決定の告知を受けた日から2週間以内に債権者から異議が申し立てられなければ、この決定は裁判上の和解と同一の効力を有することになります。異議が申し立てられた場合、特定調停は不成立となります。

 

実際の特定調停では、この17条決定が多く活用されています。理由としては、調停手続きを迅速に済ませることや債権者側の内部決裁が得やすいこと(貸金業者の担当者が債務者との話し合いにより譲歩したという形よりも裁判所の17条決定による要請に対して譲歩したという形)などが考えられています。

 

また、実際の調停の場に債権者が出廷することは稀で、債権者不在あるいは調停委員が債権者と電話で調整することが多いようです。

 

以上が特定調停の具体的な流れになります。申し立てから調停終了までの手続きにかかる期間としては通常、約2カ月程度となり、その間に債務者は事情聴取と調停の2回程度、簡易裁判所へ出廷することとなります。